「一応、やっておくと良いかもしれません」
病院の先生に、そう言われました。
じゃあ、やるか。
それだけでした。
ST(言語聴覚療法)も、療育手帳の申請も、児童発達支援を使い始めたことも。
始まりは、いつも同じくらい軽いものでした。
正直に言うと、「よし、頑張ろう」という決意なんて、どこにもありませんでした。
ただ、仕方なくやっていただけです。
今日は、その頃の話をします。
この記事で伝えたいこと
✅ 気持ちが整理できてから動く必要は、ありませんでした
✅ 動いているうちに、気持ちのほうが追いついてきました
✅ 順番は、逆でよかったんだと思います
誰かが、この子のことを考えてくれている|STに通い始めたこと
最初に始めたのは、STでした。
正直、通う前は半信半疑でした。
当時の息子は、判定で最重度にあたる区分でした。
「こんな状態で、やる意味なんてあるんだろうか」
「行ったところで、何が変わるんだろう」
「うちの子には、まだ早いんじゃないか」
そんな迷いが、ずっと頭のどこかにありました。
期待していたわけではありません。
先生に言われたから、とりあえず行ってみた。それくらいの気持ちでした。
初めて教室に入ったときのことは、いまでも覚えています。
先生が、うちの子の目線までしゃがんで、名前を呼んで、根気強く関わってくれていました。
正直、最初の何回かは、劇的な変化なんて感じませんでした。
それでも、毎回きちんと時間をとって、うちの子と向き合ってくれる。
その積み重ねを見ているうちに、ふと気づいたことがありました。
自分以外にも、この子のことを真剣に考えてくれる人がいる。
血の繋がりも、義務もないのに、それでも本気で向き合ってくれる人がいる。
それだけで、少しだけ肩の荷が下りたような気がしました。
一人で抱えているつもりだった重さを、少しだけ分けてもらえた感覚でした。
「私一人で、この子の将来を何とかしなきゃ」
そう思い詰めていた気持ちが、ほんの少しだけゆるんだ瞬間でした。
開き直った瞬間|療育手帳を申請したこと
次にやったのは、療育手帳の申請でした。
これも、前向きな決断だったかというと、正直そうではありません。
制度だから、とりあえず手続きをした。それだけでした。
でも、手帳を取得してから、気持ちに小さな変化がありました。
「よし、この手帳、使い倒してやろう」
水族館も、動物園も、手帳があればお得に行ける。
そう思えたことで、どこか吹っ切れた自分がいました。
深刻に捉えるのをやめて、「制度」として実用的に扱えるようになった瞬間だったと思います。
このあたりから、「うちの子、実は障害児なんだよねー」と、軽い調子で人に話せるようになってきました。
重く抱えていたものを、少しだけ手放せた時期でした。
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一番大きかったのは、児童発達支援でした
STも手帳も、確かに助けになりました。
でも、一番大きな変化をくれたのは、児童発達支援に通い始めたことでした。
そこの先生たちが、本当に良い人たちだったんです。
正直に言うと、私よりもずっと、この子に愛情を注いでくれている。そう感じました。
自分の愛情が足りていないと責めていたわけではありません。
でも、血の繋がっていない先生たちが、こんなにもこの子を大切にしてくれている。
その姿を見て、思ったことがあります。
この子を、こんなに愛してくれる人がいる。だったら、この先も、きっと大丈夫かもしれない。
将来への漠然とした不安が、その瞬間、少しだけ和らいだ気がしました。
離れてみて、初めて気づいたこと
💬 ここから先は、正直に書きます。
児童発達支援に通うようになって、子どもと離れる時間ができました。
朝と、夜だけ一緒にいる生活。
ずっと一緒にいた頃は、正直、可愛いと思える余裕がありませんでした。
でも、少し離れてみると。
「あれ、この子、可愛いな」と思える瞬間が増えていったんです。
四六時中べったりでいることが、必ずしも「良い母親」の証明ではなかったんだと思います。
離れる時間があったからこそ、戻ってきたときに、素直にこの子を見られるようになった。
そう感じています。
もしいま、「片時も離れずにいなきゃいけない」と自分を追い詰めているお母さんがいたら。
離れる時間は、罪悪感を持つようなことじゃありません。
私にとっては、あの時間が、この子を可愛いと思い直すきっかけになりました。
「受容」は、気持ちが先じゃなかった
こうして振り返ると、気づくことがあります。
「気持ちが変わったから、行動した」のではありませんでした。
「行動しているうちに、気持ちが少しずつ変わっていった」んです。
STに通ったのも、手帳を取ったのも、児童発達支援を選んだのも同じです。
当時は前向きな決断というより、目の前のことをこなしていただけでした。
でも、動いているうちに、気づいたら気持ちが追いついてきていました。
順番は、逆でよかったんだと思います。
同じ状況にいる方へ|私がやった順番
気持ちの整理がつかないまま、それでも何かしたいという方へ。
うちが実際に動いた順番を書いておきます。
① 病院の先生に「何かやっておいたほうがいいですか」と聞く
自分で調べる前に、これでした。
先生から出てきた言葉を、そのまま調べればよかったので、迷わずに済みました。
② 市区町村の障害福祉課に電話する
「療育手帳のことを聞きたいんですけど」で通じます。
申請すると決めていなくて大丈夫です。 私も決めていませんでした。
③ 児童発達支援を、1か所だけ見学する
手帳がなくても見学はできます。
決める必要はありません。見るだけで、世界が少し変わります。
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3つとも、決意はいりませんでした。
電話をかけただけ。見に行っただけ。
それだけで、少しずつ何かが動き始めました。
今、伝えたいこと
私自身、気持ちが整理できたのは、ずいぶん後になってからでした。
「受容できました」なんて、誰かに向けて言えるようになったのは、たぶんいまでもまだです。
それまでは、ただ目の前のことをこなしていただけです。
STの予約を入れて、手帳の書類を書いて、児童発達支援の送迎の時間を覚えて。
気持ちの整理なんて、後回しでよかったんです。
それでも、いつのまにか、この子を可愛いと思える自分がいました。
児童発達支援にお迎えに行ったとき、こちらに気づいて「あ、ママだ」という顔をした瞬間があります。
他の誰でもない、私だとちゃんと分かっている。
その顔を見たとき、素直に「かわいいな」と思っている自分がいました。
狙って作れる感覚じゃありませんでした。
気持ちの整理は、まだついていません。
でもそれでいいんだと、いまは思えています。
ひとつでも、明日から試せることが見つかっていますように。
