「障害児 今後」
これが、私が最初に検索窓に打ち込んだ言葉です。
「知的障害」でも「発達障害」でもありませんでした。
何を調べればいいのかが、そもそも分かっていなかったからです。
いま「知的障害と発達障害の違い」で検索された方は、あの頃の私より一歩先に進んでいます。
ただ、調べても答えにたどり着けないのではないでしょうか。
この記事では、知的障害と発達障害の違いと、知的障害の情報が見つからない理由を解説します。
診断を受けたばかりで、何から調べればいいか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【SWELL:吹き出し/読者・不安】
発達障害の記事はたくさんあるのに、うちの子の話だけ見つかりません。
【SWELL:吹き出し/やさしい】
その感覚、合っています。
情報が少ないのには、はっきりした理由があります。
まず結論から
【SWELL:囲みボックス(薄いグリーン)】
✅ 医学では、知的障害は発達障害と同じグループに分類されます
✅ ですが日本の制度では、この2つは別のものとして扱われます
✅ そのため、持てる手帳と、判定する人が変わります
分けているのは医学ではなく、日本の制度のほうです。
ここが分かると、調べるべき言葉が変わります。
30秒でわかる早見表
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 🧩 医学の分類 | 同じグループに入る |
| ⚖️ 日本の制度 | 別のものとして扱う |
| 📗 主な手帳 | 知的障害は療育手帳 |
| 🏢 相談する場所 | どちらも市区町村の窓口 |
| 🧸 療育に通える? | どちらも通えます |
いちばん下の行だけ覚えて帰っていただいても大丈夫です。
知的障害と発達障害は何が違う?
結論から言うと、違うのは「医学」ではなく「制度」の扱いです。
医学では、この2つを同じグループとして見ています。
一方で日本の制度は、まったく別のものとして扱っています。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 知的障害 | 発達障害 | |
|---|---|---|
| 医学の分類 | 同じグループ | 同じグループ |
| 制度上の扱い | 独立している | 精神障害に含む |
| 主な手帳 | 療育手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 |
| 判定する人 | 児童相談所 | 医師(診断書) |
同じ子どものことなのに、見る場所によって置き場所が変わります。
この食い違いが、これから説明するすべての混乱の正体です。
🖼 画像①|このセクションの直後
どんな画像: 木の棚に、色の違う箱が2つ並んでいる。やわらかい自然光。
避けたいもの: 人物、文字、ロゴ、医療器具
alt: 木の棚に並んだ2つの箱
ファイル名: chiteki-hattatsu-01.png
知的障害とは?診断される3つの条件
知能検査の数字が低いだけでは、知的障害とは呼びません。
次の3つがそろって、はじめて知的障害と判断されます。
条件1. 知的機能に遅れがある
覚える、話す、順序立てて考える。
こうした力に遅れが見られる状態です。
知能検査(IQ)の数値で確認します。
条件2. 日常生活に支障が出ている
着替え、食事、身のまわりのこと。
生活の中で、実際に困りごとが起きているかどうかを見ます。
ここは見落とされがちですが、条件1と同じくらい重視されます。
条件3. おおむね18歳までにあらわれている
大人になってから起きた状態は、知的障害には含まれません。
育っていく時期に見られることが条件です。
検査の数字が同じ2人でも、判定が分かれることがあります。
生活の中で困っている度合いが違うためです。
【SWELL:吹き出し/miyake・真顔】
検査の数字だけを見て「うちの子は違う」と決めないでください。
暮らしぶりも、同じくらい見られます。
発達障害とは?法律に挙げられている4つ
日本には発達障害者支援法という法律があります。
この法律が、日本での「発達障害」の範囲を決めています。
代表として挙げられているのは、次の4つです。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 法律にある名前 | よく使われる呼び方 |
|---|---|
| 自閉症 | 自閉スペクトラム症 |
| アスペルガー症候群 | 自閉スペクトラム症 |
| 学習障害 | LD |
| 注意欠陥多動性障害 | ADHD |
ただし、条文はこの4つで終わっていません。
「その他の広汎性発達障害」「その他これに類する脳機能の障害」という書き方で、幅を持たせてあります。
さらに政令で、言語の障害や協調運動の障害なども加えられています。
お気づきでしょうか。
この並びのどこにも、知的障害という言葉が出てきません。
知的障害は、発達障害者支援法の対象ではありません
「書き忘れではないか」と思われるかもしれません。
私も最初はそう思いました。
この法律には、政令と省令という細かい決まりがぶら下がっています。
そちらも確認しましたが、やはり知的障害という言葉は出てきません。
つまり、知的障害だけがある子どもは、この法律の対象外です。
では、知的障害はどこに位置づけられているのか
障害のある人についての土台となる法律に、障害者基本法があります。
そこには、こう並べられています。
【SWELL:囲みボックス(薄いオレンジ)】
・身体障害
・知的障害
・精神障害(発達障害はここに含まれる)
知的障害だけが、独立して置かれています。
発達障害は、精神障害のほうに入れられています。
同じ国の法律なのに、置き場所が違うのです。
🖼 画像②|このセクションの直後
どんな画像: 無地の封筒と、1本のペンが机に置かれている。朝の光。
避けたいもの: 人物、手、書き込まれた文字
alt: 机に置かれた無地の封筒とペン
ファイル名: chiteki-hattatsu-02.png
知的障害の情報が少ない3つの理由
ここまで読むと、あの検索結果の理由が見えてきます。
理由1. 法律の名前が「発達障害」で立っている
支援の根拠となる法律の名前が「発達障害者支援法」です。
制度も予算も、この名前を軸に動きます。
理由2. 支援機関も本も、その名前で作られる
発達障害者支援センターという名前の相談窓口があります。
書店に並ぶ本も、同じ理由で発達障害の本が中心になります。
理由3. 結果として、情報の量に差がつく
情報を作る側の入口が発達障害の名前で立っているため、
知的障害の情報だけが増えにくくなります。
【SWELL:囲みボックス(薄いオレンジ)】
知的障害の情報が少ないのは、その子が少ないからではありません。
情報が生まれる入口の名前が、違うだけです。
そして、違いを説明してくれる人もいませんでした
ここからは、私自身のことを書きます。
長男の診断を受けてから、9年がたちました。
その間、知的障害と発達障害の違いを説明されたことは一度もありません。
医師からも、保健師からも、児童相談所の職員からもです。
責めているわけではありません。
診断や手続きの場に、そこまで話す時間がないのだと思います。
ただ、結果として起きることは同じです。
【SWELL:囲みボックス(薄いオレンジ)】
親は、自分で調べるしかありません。
そして調べても、うまく見つかりません。
私が最初に打ち込んだのは「障害児 今後」でした
病名で検索していません。
何を調べればいいのかが、分かっていなかったからです。
そのとき何が表示されたのかは、覚えていません。
覚えていないほど、何も残らなかったということだと思います。
「知的障害」で調べ直すと、今度は読めませんでした
出てきたのは、自治体や病院のサイトでした。
正しい情報だったのだと思います。
ただ、ショックを受けている最中に、漢字の多い文章は読めませんでした。
内容が難しかったのではありません。
読む気力が、残っていなかったのです。
【SWELL:吹き出し/読者・不安】
発達障害のお母さんの発信を見て、うらやましいと思ってしまいました。
【SWELL:吹き出し/miyake・やさしい】
私も同じことを思って、最低だなと落ち込みました。
いまは、情報の量が違うのだから当然だと思っています。
🖼 画像③|このセクションの直後
どんな画像: 夜の窓辺。遠くに街の灯りだけが見えている。静かな空気。
避けたいもの: 人物、後ろ姿、涙、暗すぎる色
alt: 夜の窓辺から見える遠くの街の灯り
ファイル名: chiteki-hattatsu-03.png
手帳はどう違う?療育手帳と精神障害者保健福祉手帳
暮らしにいちばん響く違いが、手帳です。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 療育手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 | |
|---|---|---|
| 対象 | 知的障害 | 発達障害など |
| 判定する人 | 児童相談所 | 医師(診断書) |
| 根拠 | 国の通知 | 法律 |
※ 自閉スペクトラム症などの診断があっても、
知的障害があると判定されれば療育手帳の対象です。
療育手帳には、根拠となる法律がありません
意外に思われるかもしれませんが、事実です。
療育手帳のもとになっているのは、1973年に国が出した通知です。
法律ではありません。
そのため、判定の基準が自治体ごとに違います。
国の資料でも、次のような差が報告されています。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 知能指数の上限 | 採用している自治体 |
|---|---|
| おおむね75 | 約52% |
| おおむね70 | 約27% |
発達障害を療育手帳の対象に含めるかどうかも、自治体で分かれています。
【SWELL:吹き出し/miyake・真顔】
「よその県では取れた」が当てはまらない理由が、これです。
必ずお住まいの窓口で確認してください。
なお国は、この差をそろえるための判定ツールを開発しています。
ただし、全国で使われる時期は公表されていません。
療育に通う入口は同じ|児童発達支援と放課後等デイ
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
児童福祉法という子どものための法律では、こう定められています。
【SWELL:囲みボックス(薄いグリーン)】
障害児とは
・身体に障害のある児童
・知的障害のある児童
・精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
3つとも、ひとまとめに「障害児」として書かれています。
そのため、次のサービスはどちらの子どもも利用できます。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| サービス | 対象 |
|---|---|
| 児童発達支援 | 就学前の療育 |
| 放課後等デイサービス | 就学後の支援 |
【SWELL:囲みボックス(薄いグリーン)】
分かれているのは、制度の書類の上だけです。
療育に通う入口は、分かれていません。
制度の話で不安になった方に、ここだけは覚えて帰ってほしいところです。
🖼 画像④|このセクションの直後
どんな画像: 窓辺に並べられた積み木。誰もいない静かな部屋。やわらかい光。
避けたいもの: 人物、子ども、先生、医療器具
alt: 窓辺に並べられた積み木
ファイル名: chiteki-hattatsu-04.png
知的障害と発達障害は、両方あることもある
「どちらなのか」で悩む方が多いのですが、前提が1つ抜けています。
この2つは、同時にあることがあります。
知的障害と自閉スペクトラム症が重なる。
知的障害があり、多動の傾向も見られる。
医学では同じグループの中の話なので、重なるほうが自然です。
診断名がつくと、使える制度は増えます
もう一度、発達障害者支援法の書き方を思い出してください。
挙げられていたのは、診断名でした。
「知的障害がある場合は除く」とは書かれていません。
そのため自閉スペクトラム症などの診断がついた場合は、
知的障害があっても、発達障害の支援の対象にもなります。
【SWELL:吹き出し/miyake・やさしい】
どちらか1つを選ばされる場面は、思っているより少ないです。
使えるものは、両方使って大丈夫です。
私の失敗|「手帳が先」と、なんとなく思い込んだ話
長男が1歳のとき、療育手帳を申請しました。
窓口に相談してから判定まで、約3か月かかりました。
その3か月、私は療育を探していません。
「手帳が出てから探すもの」だと思っていたからです。
誰かにそう言われたわけではありません
ここが、いちばんお伝えしたいところです。
窓口でも、児童相談所でも、そう説明された記憶はありません。
なんとなく、そう思い込んでいただけです。
そして、誰も訂正してくれませんでした。
受給者証を知ったのは、手帳が出たあとでした
療育に通うために必要なのは、手帳ではありません。
障害児通所受給者証という、別の書類です。
私がこの書類を知ったのは、手帳が交付されたあとです。
窓口で教わったのではなく、自分でインターネットを見て気づきました。
【SWELL:吹き出し/miyake・真顔】
もっと早く動けばよかった、といまでも思います。
思い込みは、聞かないかぎり誰も直してくれません。
「どちらなのか」を自分で決めなくていい3つの理由
ここまで違いを書いてきましたが、最後は逆のことをお伝えします。
分類を、保護者が自分で決める必要はありません。
【SWELL:表ブロック(背景色つき)】
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 決める人が違う | 診断は医師、判定は児童相談所 |
| 年齢で変わる | 幼いほど判断が難しい |
| 区分は変わる | 育つ中で変わる子もいる |
長男は、1歳のときは最重度にあたる区分でした。
いまは軽度です。歩けるようになり、話せるようになりました。
あのとき私が調べて出した答えは、その通りにはなりませんでした。
名前を確定させることに、時間を使わないでください。
使える制度を先に使うほうが、子どもの時間を守れます。
🖼 画像⑤|このセクションの直後
どんな画像: カーテンが開いた窓。朝の光が床にのびている。
避けたいもの: 人物、影、暗さ
alt: カーテンが開いた窓から差す朝の光
ファイル名: chiteki-hattatsu-05.png
窓口で聞くこと5つ|そのままコピーできます
説明されないまま進んでしまうのを防ぐための質問です。
スマホのメモに貼って、窓口で読み上げるだけで大丈夫です。
【SWELL:囲みボックス+リスト】
📞 市区町村の障害福祉の窓口で聞くこと
・うちの子は、療育手帳の対象になりそうですか?
・判定の予約は、どれくらい先まで埋まっていますか?
・受給者証は、手帳がなくても申請できますか?
・診断名がまだなくても、療育に通えますか?
・申請に必要な書類を、紙で1枚いただけますか?
3つめが、いちばん大事な質問です。
私が9年前に聞けなかった質問でもあります。
ここで「できます」と言われたら、待ち時間が丸ごと使えるようになります。
よくある質問
【SWELL:アコーディオンブロック】
Q1. 知的障害と発達障害、両方あることはありますか?
あります。医学では同じグループの中の話です。
知的障害と自閉スペクトラム症が重なる子どもは、少なくありません。
Q2. 知的障害があると、発達障害の支援は受けられませんか?
そうとは限りません。
発達障害者支援法の定義は診断名で書かれており、
知的障害があることを理由に除く書き方にはなっていません。
Q3. 療育手帳は何歳から取れますか?
国の要綱に、年齢の下限は書かれていません。
実際に1歳台で取得している家庭もあります。
ただし低年齢では判定が難しく、運用は自治体で異なります。
Q4. 知能指数がいくつなら知的障害になりますか?
全国共通の数字はありません。
上限をおおむね75とする自治体が約52%と報告されています。
おおむね70とする自治体は約27%です。
数値だけでなく、日常生活での困りごともあわせて判断されます。
Q5. 診断がまだなくても、療育に通えますか?
通える場合があります。
療育に必要なのは手帳ではなく、受給者証だからです。
条件は自治体で異なるため、窓口でご確認ください。
Q6. 違いを、誰も説明してくれません。
めずらしいことではありません。
私自身、9年間で一度も説明を受けていません。
診断の場では、そこまで話す時間が取れないのだと思います。
まとめ|迷ったら「療育手帳」と「受給者証」で調べる
知的障害と発達障害は、医学では同じグループ、制度では別のものとして扱われます。
情報が見つからないのは、探し方の問題ではありません。
制度のほうが、先に分かれていただけです。
【SWELL:囲みボックス(薄いグリーン)】
① 検索する言葉を変える
「発達障害」ではなく「療育手帳」「受給者証」で調べ直しましょう。② 市区町村の障害福祉の窓口に電話する
判定の予約が、どれくらい先まで埋まっているかを聞きましょう。③ 受給者証の申請ができるか確認する
手帳の結果を待たずに動けるかどうかを聞きましょう。
「障害児 今後」としか打てなかった私が、9年かけて分かったことです。
分かれ方が分かれば、次に打ち込む言葉が変わります。
ひとつでも、明日から試せることが見つかっていますように。
